自由
家からすぐのところに森があって
時折、思い出したように、その森に入る。
小鳥が、遊ぶように飛びかい、
足元では、羽虫や甲虫が思い思いに活動している。
森の中で、密かに嬉しくなるのは
こういった自由を見た時だ。
帰り道、
今日のごはんを考える。
豚の生姜焼きにしようか?
それとも、照り焼きチキンにでもしようか…
わかりきっていた衝撃
テーブルの上の新聞に目を落とすと、
「動物の苦しみを減らすために」
という大見出し。
咄嗟に目をそらす。
これはまずい内容だ。
動物に感情移入して気が滅入ってしまうから。
しかし見出しの横には、花咲く草原で鶏を抱き、満ち足りた笑顔の女性がいる。
その笑顔につられ、流れるようにその記事を読み始めてしまった。
「たくさんの母豚が、振り向くこともできない完全な拘束状態で、キーキーと鳴き声をあげていました」
「日本の鶏は9割以上がバタリーケージで飼育されている。このバタリーケージとは、ほとんど身動きが取れない状態で継続的に強いストレスがかかる。」
「ストレスは、ほかの鶏への攻撃行動につながる為、クチバシの切断も行われる」
(2023.6.10朝日新聞be掲載)
目を細め、深呼吸をはさみながらも、
アア、結局最後まで読んでしまった。
ふつふつと湧いてくる感情は想定通りだ。
もう見たくない…と思うのに、新聞の女性、
岡田さんが代表を務めるアニマルライツセンターのHPも見てしまう。
飼育方法、屠殺方法は薄っすらわかっていた。
薄っすらわかっていたが、考えないようにしていた。
それは、肉が好きだから。
調べ上げられた情報には、恐らくそういうことになっているだろうと、本当はわかりきっていた、過酷な日本の家畜動物の現状があった。